ここでは、「すざく」の解析に固有かつ重要な FTOOLS を紹介する。
> fhelp xisrmfgenを参照してほしい。
> xisrmfgen phafile=tmp.pha outfile=tmp.rmf
なお、xissimarfgen を使おうと思う人は、 Ishisaki et al. 2007, PASJ, 59, S113 を必ず参照すること。 また、各パラメタの意味については
unix> fhelp xissimargenで確認して欲しい。 参考のため、以下に簡単な arf 計算の計算例を紹介しておく。
その1 : 点源のスペクトルをSKY座標で積分した場合の arf
点源のSky座標を (SKY, SKY) = (700, 800)とし、
そのスペクトルを (SKYX, SKYY) = (700, 800) を中心に、
半径 115 pixel (約 2 arcmin)で積分した場合のXIS1 の arf (source_xis1.arf)を作る。
積分領域ファイル(source_xis1.reg10.1)
スペクトルファイル(source_xis1.pi),レスポンスファイル(source_xis1.rmf),
GTIファイル(source_xis1.gti, GTI extensionのついたイベントファイルでも良い)
10.2,
attitudeファイル(配付データの auxil/ 以下にある。とりあえず source.att とする)を用意する。
ここで xissimarfgen で使う座標には、bin まとめしていない状態のイメージの座標を指定しなくてはいけないことに注意が必要である。XSELECT 中でデフォルトでは、XIS のイメージは 8 binまとめされているため、そこで作ったイメージから座標を決めると、 xissimarfgen では座標や半径などの値が正しい値の 1/8 になってしまうのである。 正しくは例えば XSELECT 中で set xybinsize 1 と打ってイメージの bin サイズを変更し、 その後 extract して作ったイメージで座標を決めればよい。
以上のファイルの準備ができたら以下のように実行する。
unix> xissimarfgen \ instrume=XIS1 source_mode=SKYXY pointing=AUTO source_x=700 source_y=800 \ num_region=1 region_mode=SKYREG regfile1=source_xis1.reg arffile1=source_xis1.arf \ limit_mode=MIXED num_photon=100000 accuracy=0.005 phafile=source_xis1.pi \ detmask=/CALDB/data/suzaku/xis/bcf/ae_xi1_calmask_20051105.fits \ gtifile=source_xis1.gti attitude=source.att rmffile=source_xis1.rmf estepfile=default
その2 : 一様な輝度分布の広がった天体に対する arf
天体の大きさを半径 20 arcminの円とし、明るさは一様とする。
2通りの積分領域で XIS2 の arf を作るとする。
出力される arf は天体全体のフラックスを求めることが出来るように規格化さ
れているので、積分領域に比べて天体が大きい場合には注意すること。
unix> xissimarfgen instrume=XIS2 pointing=AUTO source_mode=UNIFORM source_rmin=0 \ source_rmax=20 num_region=2 region_mode=SKYREG \ regfile1=source_xis2_a.reg arffile1=source_xis2_a.arf \ regfile2=source_xis2_b.reg arffile2=source_xis2_b.arf \ limit_mode=MIXED num_photon=1000000 accuracy=0.005 phafile= source_xis2.pi \ detmask=/CALDB/data/suzaku/xis/bcf/ae_xi2_calmask_20051105.fits \ gtifile=source_xis2.gti attitude=source.att rmffile=source_xis2.rmf estepfile=medium
ここで estepfile はどの位細かいエネルギーステップでarfの計算を行なうかを表わす パラメタであり、full, dense, medium, sparse の 4 通りが用意されている。 まず最初に、比較的はやく計算が終了する estepfile=sparse で設定などの確認を行なってから、好みの estepfile で計算することを勧める。
特に自分で指定をしないかぎり、 xissimarfgenでは contamination 考慮した arf が作られる。 このとき、最新のHEADASとCALDBを正しくインストールしてあれば、 最新の contamination 情報がCALDBから読みだされる 10.3。 もし、この影響を考慮しない arf を作りたいのであれば、 contamifile=none と設定する必要がある。 また、ここでファイル名を直接指定すれば、 古い(とはかぎらないが...)バージョンの contamination情報をもとに arf を作ることも可能である。
Source の位置、積分領域の位置が適切かどうかを確認するには、 ds9 で arfの最初のextenstionに入っているイメージを見ることが 非常に有効である。
その1 : XSPECで使う補正因子を計算する
以下の [ ] の部分に対して、自分の観測に対応したパラメタを入力する。
unix> xiscontamicalc xiscontamicalc version 2006-11-26 Written by Y.ISHISAKI (TMU) Built on ANL HEADAS converter 1.71 for ANL version 1.72 Instrument Name (XIS0,XIS1,XIS2,XIS3)[XIS0] Suzaku TIME, or date string in UTC, 'yyyy-mm-ddThh:mm:ss.sss'[2006-03-01T00:00:00] X-ray energy in keV[1] incident X-ray DETX position[310] incident X-ray DETY position[512.5] ARF file name to multiply the transmission[none]以下の様な出力が出る。 XSPEC で スペクトルフィッテングを行なう際に、vphabs を使って、 C(CARBON) と O(OXYGEN)の吸収量を補正すれば良い。
xis_contami: reading '/inst/soft/caldb//data/suzaku/xis/bcf/ae_xi0_contami_20061016.fits' ... ngp=522, t0=177242000.0, t1=492342800.0, nen=7900, e0=0.201, e1=15.999 TELESCOP = 'SUZAKU' INSTRUME = 'XIS0' CONTAMIFILE = '/inst/soft/caldb//data/suzaku/xis/bcf/ae_xi0_contami_20061016.fits' (CALDB) LEAPFILE = '/inst/soft/caldb//data/gen/bcf/leapsec_010905.fits' (CALDB) DATE-OBS = '2006-03-01T00:00:00' ( TIME = 194486401.000000 ) DAYS = 199.588 [dy] after 2005-08-13T09:53:20 ENERGY = 1.000 [keV] R_OFFSET = 3.517 [arcmin] at ( DETX , DETY ) = ( 310.0 , 512.5 ) [pixel] CARBON = 1.877231 [10**18 cm**-2] OXYGEN = 0.312872 [10**18 cm**-2] TRANSMIS = 8.843071e-01
その2 : arf を 補正する
上の例の入力の最後の行で、Contamination を含んでいない arf を入力する。
ARF file name to multiply the transmission[none] source_nocontami.arf scale column density of contaminant from nomincal value?[no]これで、入力した arf に対して、補正が行なわれる 10.5。
xissimは、XIS imageなどのシミュレーションを行なうことができる
ftoolsである。
例えば以下のような場合、xissimは有用である。
拡がった天体のイメージを描きたい時、
視野中心と視野の端ではvignettingの影響で実効的なexposureは異なるため、
生イメージでは正しい強度mapにはなっていない。
そこで、xissimを用いて視野内のexposureのmapを作成することで、
イメージのexposure補正をすることが可能である。
ここでは、xissimを用いたXIS0, 2.0 keVでのexposure mapの作り方を紹介する。
0. 必要な物
元のimage fits: input.img
オイラー角情報: (=ea1, ea2, ea3)
オイラー角情報は、イベントファイルにも書いてあるので、
fdumpなどで調べよう。
レスポンスファイル: (ここではxis0.rmf)
1. 空が一様に光っているimage fitsを用意
元のimage fitsをinput.img、一様な空image fitsをflatinput.imgとする。
fcarith infile="input.img" const="0" outfil="tmp.img" ops="*" fcarith infile="tmp.img" const="1" outfil="flatinput.img" ops="+"これで全ピクセルに1が入ったimage fitsが作成された。
2. 2 keVのphoton listを作成
mkphlist photon_flux=1 flux_emin=1.0 flux_emax=10.0 \ spec_mode=1 image_mode=0 time_mode=0 limit_mode=0 \ fits_image_file=flatinput.img nphoton=200000000 \ energy=2.0 outfile=flat_2keV.phtmkphlistとは、xissimのためのphoton listを作成するftoolである。 詳しくは
>fhelp mkphlistで勉強してほしい。
3. photon listのイベントを空image fitsに降らせてイベントファイルを作成
xissim instrume=XIS0 infile1=flat_2keV.pht infile2=none \ ea1=999.9 ea2=999.9 ea3=999.9 \ xis_rmffile=xis0.rmf \ outfile=flat.evt
4. xselectなどでimage fitsを作成
第5章などを参照して、image fitsを作る。
これがexposure mapと等価である。
絶対値は違うことに注意すること。
なお、2008年3月現在、 xisexpmapgenというFTOOLSがリリースされている。 これは、exposure mapをdirectに作ってくれるツールである。
HEADAS 6.0.6 以降には HXD の arf file を作成する hxdarfgen なる ftools が 含まれている。これは、HXD nominal position のレスポンスに対して用いる arf を作成 するツールである。(XIS nominal position のレスポンスに対して用いてはダメ)
正確な表現をするならば、HXD のエネルギー応答関数は、入射角度が変わると、
パルスハイト分布(rmf)の形自体が変わるので、
rmf arf という体系では表現しきれないものであるが、
第零近似として、arf を用いた解析が行なえるようになっている。
HXD の arf/rmf は、通常の X線望遠鏡(arf)
焦点面検出器(rmf) という
切り分けは行なっておらず、HXD nominal position の時に arf の全ての成分が 1.0 となる
ように定義されている。すなわち、HXD arf は、HXD nominal position のレスポンスからの
補正項として定義されている。
hxdarfgen の詳細な使い方は、
unix $ fhelp hxdarfgenの記述をよく読んでほしい。
ae101005040_hxd_pin.pha という PIN の PI file を用いていて、 (RA, DEC) = (274.0554, 49.8675) の天体に対する PIN の arf が欲しい場合は、
unix $ hxdarfgen hxd_arf_pinid=64 hxd_arf_gsoid=17 \ teldef_name="ae_hxd_teldef_20060516.fits" \ attitude_name="ae101005040.att" \ hxd_arfdb_name="ae_hxd_pinart_20051126.fits" \ input_pi_name="ae101005040_hxd_pin.pha" \ point_ra=274.0554 point_dec=49.8675とすればよい。ここで hxd_arf_pinid=64 なら PIN-0,1,2,...63 全てをマージしたものである。 PIN arf を作成する場合は、hxd_arf_gsoidを 16 より大きい値にする必要がある。 衛星の向いていた RA, DEC は、PI file のヘッダに書かれている 'RA_NOM' 'DEC_NOM' から 読まれる10.6。また、 ae101005040_hxd_gso.pha という GSO の PI file に対する GSO の arf が欲しい場合は、
unix $ hxdarfgen hxd_arf_pinid=65 hxd_arf_gsoid=16 \ teldef_name="ae_hxd_teldef_20060516.fits" \ attitude_name="ae101005040.att" \ hxd_arfdb_name="ae_hxd_gsoart_20051126.fits" \ input_pi_name="ae101005040_hxd_gso.pha" \ point_ra=274.0554 point_dec=49.8675とすれば生成される。ここで、CALDB 中の arf data base の名前 (hxd_arfdb_name) は、
PIN なら ae_hxd_pinart_xxxxxxxx.fits、 GSO なら ae_hxd_gsoart_xxxxxxxx.fitsとしないと正常に動作しないので注意が必要である。