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B. ソフトウエアのインストール・設定 (SOFTWARE INSTALLATION)

この章では解析に必要なソフトのインストール方法を説明する。 B.1B.2 でそれぞれ HEASOFT と ds9 のインストール方法について述べる。 これらのソフトは HEASARC のホームページ
http://heasarc.gsfc.nasa.gov/docs/software.html

からダウンロードすることができる。

インストール前の確認。(上から下に向かってマニアックに...)
どこにインストールするか。
インストールするディスクに十分空きがあるか。
インストールするディストリビューション(つまりコンパイルするか、バイナリで持ってくるか)。
(バイナリ派のあなたは) インストールするマシンのOS。
(コンパイル派のあなたは)コンパイラのバージョン。

これらはあなたに解析を指導してくれる人の指示に従うべきである。 が、「よくわからないけどとりあえず解析を始めてみよう(^O^)/」 というあなたにはバイナリディストリビューションをお薦めする。 バイナリディストリビューションの方が簡単だが(?)コンパイルすると Xspec で local model を使えるというメリットがある。


B.1 HEAsoft

HEASOFT は解析に必要な様々なソフトをまとめたものである。
http://heasarc.gsfc.nasa.gov/docs/software.html

で HEAsoft というリンクをクリックしてみよう。 はじめの方に HEAsoft に含まれているそれぞれのソフトについて 記述があるが、その下に Downloads と書いてある部分がある。 大きな Download の文字をクリックするとダウンロードページに 飛べる。 ここからは、使用するディストリビューションによって作業が変わる ので分けて説明する。ソースコード派の方は B.1.1 を 飛ばして B.1.2 を読めばよい。


B.1.1 バイナリディストリビューション (Binary distribution)

バイナリの場合は簡単である。 図B.1 のステップ1で自分のOSを、ステップ2で Allにチェックする(All にチェックすると自動で全部にチェックが 入る)。「すざく」の解析だけを行う場合には Mission-Specific Tools の中の Suzaku をチェックするという方法もある。こうすると「すざく」 の解析に必要なもの全てに自動でチェックが入る。 B.1 そしてSubmitをクリックし tar でかためたファイルを 適当な場所に置いて、インストールしたい場所で展開すればよい。 展開するとまず headas というディレクトリができ、その中に
          attitude/  heagen/   image/     tcltk/ demo/      heatools/
          integral/ ftools/    spectral/  Xspec/ heacore/   swift/
ぐらいのディレクトリといくつかのファイルがあるはずである。 さて、お手元には実は上のリストにはないディレクトリがあるはずである。 例えば、linux の人は i686-pc-linux-gnu-libc2.2 とかいう名前の B.2 ディレクトリである。このディレクトリの下にある BUILD_DIR に移動し、
          ./configure > config.out
と打つ。これで、インストール作業は終わりである。 ただ、このままでは使えず、いくつかの設定をする必要がある。 これは、B.1.3 で述べる。

ある条件のマシンでは、バイナリで持ってきた場合にうまくいかない ことが分かっている。

        locate libg2c
と打ってみよう。ここで、何も出力されずにプロンプトが帰って来た 場合には対処が必要である。方法はこの節の最後(B.1.4)に 解決方法を載せたので、参照してほしい。

図 B.1: HEAsoft ダウンロードのページ
\includegraphics[width=0.9\textwidth]{figs/data_analysis_1.eps}


B.1.2 ソースコードディストリビューション (Source code distribution)

ソースコードディストリビューションの場合は、図B.1の画面 で、ステップ1はSource code distribution のボタンを、ステップ2は All をチェックする。 「すざく」の解析だけを行う場合には Mission-Specific Tools の中の Suzaku をチェックするという方法もある。こうすると「すざく」 の解析に必要なもの全てに自動でチェックが入る。 B.3 そして Submit をおし、tar でかためたファイルを 適当な場所に置いて、インストールしたい場所で展開すればよい。 展開するとまず headas というディレクトリができ、その中に
          BUILD_DIR/           README.CYGWIN        attitude/  heagen/    swift/
          CMakeLists.txt*      Release_Notes_6.0.4  ftools/    heatools/  tcltk/
          HEASOFT-INSTALL.TXT  Xspec/               heacore/   integral/
というようなものがあるはずである。 ここからは、ここにある HEASOFT-INSTALL.TXT に沿ってインストールを 進めればよい。 B.4

まず、展開してできた headas ディレクトリの中の BUILD_DIR に移動する。 ここで

          ./configure > config.out
と打つ (./configure だけでも良いが、これだと後でうまくいかなかった ときにどこが良くないのか分からない)。 これが終わったら、次にコードのコンパイルを行う。具体的には、
          make > build.log
を実行する。そして最後に
          make install > install.log
ところで、HEASOFT-INSTALL.TXT というガイドに、VERY IMPORTANT と 書かれている項目がある。それは、build.log や install.log に エラーが出ていないかをチェックすることである。 エラーがある場合には、これらのファイルの中に "***" を含む行が 存在するはずなので、これがないかをチェックするのが手っ取り早い 方法である。ただし、次のふたつの場合は "***" を含むが、実質 問題はない、と書かれている。

(その1)

   read_subs.f:292: warning:
               GOTO 100
                    1
   read_subs.f:349: (continued):
       100     call fcerr('*** FADMAP EXITED IN SUBROUTINE READ_EXPOSURE ***')
       2
   Reference to label at (1) is outside block containing definition at (2)
(その2)
   *** Warning: This library needs some functionality provided by -ltermlib.
   *** I have the capability to make that library automatically link in when
   *** you link to this library.  But I can only do this if you have a
   *** shared version of the library, which you do not appear to have.
   *** The inter-library dependencies that have been dropped here will be
   *** automatically added whenever a program is linked with this library
   *** or is declared to -dlopen it.
さて、これ以外の場所に"***"が見付かったり、そもそもどこかでエラーが 出て止まった場合はどうすればよいだろう。 お近くの詳しそうな人に相談するのがよかろう。 お近くに詳しそうな人が見当たらなかったり、頼りなかった場合には、 HEASOFT-INSTALL.TXT の始めの方にある CONTACT INFORMATION の部分を 参照して、解決方法を探すこともできる。 とりあえず、ソースをコンパイルするのは諦めて、バイナリを持ってくる という手もある。

無事エラーがないことが確認されればインストールはおしまいである。 B.1.3 に従ってインストール後の設定を行えばよい。


B.1.3 インストール後の設定 (Setup after installation)

インストール後に必要になる手続きがある。 まずあなたが HEAsoft をインストールしたディレクトリ (headas というディレクトリの親ディレクトリ)をもう一度チェック しよう。ここでは、/YOUR_DIRECTORY にインストールしたとして 話をすすめる。また、headas の下にあなたの使っている OS に 応じたディレクトリがあるはずだがこれもチェックしておこう。 例えば、i686-pc-linux-gnu-libc2.2 alphaev56-dec-osf4.0d sparc-sun-solaris2.8 powerpc-apple-darwin7.5.0 などが そうである。ここでは YOUR_PLATFORM であるとしておく。 あなたがお使いの Shell は何だろう?
          echo $SHELL
とか打つと分かるかもしれない。 csh や tcsh の方は、$HOME/.cshrc
          setenv HEADAS /YOUR_DIRECTORY/headas/YOUR_PLATFORM
          alias heainit "source $HEADAS/headas-init.csh"
を追加する。 sh、ash、ksh、bash の方は $HOME/.login に(と言っているbashの私は $HOME/.bashrcを使うが)
          export HEADAS=/YOUR_DIRECTORY/headas/YOUR_PLATFORM
          alias heainit=". $HEADAS/headas-init.sh"
を書いておく。

そして、解析を始める前に "heainit" と打つと諸々の設定がなされ、 解析に必要なソフトが使えるようになる、というわけである。

以上で HEAsoft のインストールの解説は終わりである。


B.1.4 "ハマりがち"ぱたーん (A common trap)

古い linux やとても新しい linux ではバイナリを持ってきても うまくゆかないことがある。これは実行時に起こる不具合なので、 インストール時には気付かないかもしれない。例えば、Xspecを立ち上げ ようとすると怒られる。
          /YOUR_DIRECTORY/headas/i686-pc-linux-gnu-libc2.2.4/bin/xspec12: 
          error while loading shared libraries: libgcc_s.so.1: 
          cannot open shared object file: No such file or directory
とか。エラーメッセージの中に libstdc++.so.5 libg2c.so.0 libgcc_s.so のいずれか (上の例では libgcc_s.so) が含まれる場合には以下の 方法で対処できる。

まず、

http://heasarc.gsfc.nasa.gov/docs/software/lheasoft/linux.html

に行く。そして "Compiler library patch for Linux" をクリックして tarファイルをダウンロードし、headas ディレクトリで解凍すれば よい。これで先程 「ないよ」と言われた libgcc_s.so など が headas/i686-pc-linux-gnu-libc2.2.4/lib/ に追加される。

もし解凍したとき、あなたの $HEADAS と異なるディレクトリができてしまった場合 B.5 は、これだけでは動かない。 解凍してできた lib の中身を $HEADAS/lib に移動させて 初めて動く。まずは

        echo $HEADAS
などとしてしっかり headas の環境が設定されていることを確認した 上で
        cd (解凍してできた)lib
        mv * $HEADAS/lib
を行う これで動くようになる。 空になった lib やその上のディレクトリは削除してしまって構わない。

後から追加されたディレクトリをこのまま分けておきたい場合、この場所を ソフトを動かしたときに参照するように設定して解決できる。 これには $LD_LIBRARY_PATH に今持ってきた i686-pc-linux-gnu-libc2.2.4/lib も追加すれば良いわけである。 使っている Shell に応じて

setenv LD_LIBRARY_PATH "/YOUR_DIRECTORY/headas/i686-pc-linux-gnu-libc2.2.4/lib:$LD_LIBRARY_PATH"
もしくは
export LD_LIBRARY_PATH="/YOUR_DIRECTORY/headas/i686-pc-linux-gnu-libc2.2.4/lib:$LD_LIBRARY_PATH"
である。


B.2 ds9

ds9 も同じく
http://heasarc.gsfc.nasa.gov/docs/software.html

から SAOImage DS9 のリンクをたどって必要なファイルをダウンロード する。 とりあえず最新版をダウンロードすればよいので、 リンク先である
http://hea-www.harvard.edu/RD/ds9/

で最も上の方にあるバージョンを持ってくれば良い。 自分のOSに合わせてバイナリをダウンロードし、解凍する。 そうするとds9というファイルが1つできるので、 これをPATHの通ったディレクトリに置けば良い(もしくは これを置いたディレクトリにPATHを通せばよい)。

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平成21年8月20日