ds9とは、
FITSイメージやbinary tableなどを可視化することを大きな目的とした
ソフトウェアで、
天文学ではミッションを問わず広く用いられている。
ここでは、「すざく」の解析で用いそうな
ds9テクニックを紹介する。
なお、ds9の詳細なマニュアルは、
ds9で出来ることは、主に以下の通りである。
ds9では、図 6.1のような画面が立ち上がる。 この画面を本マニュアルではmain windowと呼ぶ。 画面上部にはファイル名・マウスのいる位置の座標などが、 下部には実際の画像がある。 最上部にあるボタンをクリックしながら、 コマンドを実行していく。 よく使用されるコマンドは画面中程にもある。
ds9を立ち上げる時は、
$ ds9 (infile)とする。 または、
$ ds9としたあと、file → openとボタンをクリックし、infileを入力する。 ここで、infileに出来るのは、 event FITSまたはimage FITSである。
入力ファイルがevent file形式の場合は、
イメージのbinningが出来る。
特に、表面輝度の暗い広がった天体のイメージを見る時は
binningが効果的である。
Bin → block xx
の順にクリックすると、イメージがxx binごとにbinningされる。
例えば、図 6.2左を32binまとめすると、
図 6.2中央のようになる。
また、smoothをクリックすると、画像が指定したbin sizeで
smoothingされる。
smoothingの方法は、
boxcar, tophat, gaussianから選択出来る。
図 6.2右は、同図中央をgaussianでsmoothingした例である。
なお、ds9の描画画面はdefaultでは1024x1024 pixelである。
そのため、ほとんどbinningをしない大きなイメージを見たければ、
Bin → 4096x4096
などと、画像サイズを変える必要がある。
zoom in, zoom outする
画像のzoom in, outを行なう。
Zoom → (in or out)
と順にクリックすればよい。
scalingを変える
画像が見やすいよう、scalingを変える。
Scale → (linear)
などとして、scaleを変えることが出来る。
()内は、linear, log, squared, squared rootから選択できる。
scalingの最小・最大値は、defaultでは、
データ点の最小・最大値になっている。
これを変更したい場合は、
Scale → Scale parameter
とクリックすると、
パラメータ設定用のwindowが開くので、
そこで調節する。
カラーを調整する
画像のグラデーションを変え、調節する。
Color → (gray)
などとすると、様々なグラデーションに変更することが出来る。
gray scale、 b (青から赤、黄へと変わるグラデーション)、
bb (茶系のグラデーション)などがよく使われる。
右クリックしながら画面上をぐりぐりドラッグすると、
コントラストなどを変えることも出来る。
コントラストを反転させたい時は、
Color → Invert
とすればよい。
領域(region)を書く
領域 (以下region)とは、
画面上に書き込める幾何学図形や直線、文字などを指す。
window真ん中にあるボタンからたどる時は
Region → more → ... 、
window上のボタンからたどる時は
Region → shape → ...
とクリックし、好みの形のregionを選ぶ。
右クリック→ドラッグで、好みの大きさのregionが描ける。
出て来たregionをクリックすると、4角に四角い点が現われるので、
これをクリック-ドラッグすることで大きさ・位置を調整できる。
さらに大きさや位置、色などの調整をしたい時は、
regionをダブルクリックして、図 6.3のようなsub windowを出す。
ここで図形の中心座標や大きさなどを任意に変えることが出来る。
defaultではphysical座標指定になっているが、
Coord → WCS
Radius → WCS
などとクリックすることで、sky座標での指定も可能である。
regionの色や太さは、
Color/Width → ...
などとクリックして指定する。
複数のregionを組み合わせて一つのregionにすることも可能である。
その際、sub windowメニューで
Property → exclude
を選ぶと、その領域をくり抜くことが出来る。
くり抜き指定が入った領域は、画面上では赤の斜線が入る。
出来上がったregionは、
main window上で
Region → Save
とすることでテキストファイルとして保存できる。
同様に
Region → Load
で保存したregion fileを読み出すことも可能である。
region fileはテキストファイルなので、 editorを使って編集することが可能である。 例えば、
circle(64.5,64.5,46.875) -circle(64.5,64.5,31.25)というregion fileは、 半径46.875pixの円から半径31.25pixの円をくり抜いたものになる。
なお、スペクトル解析のためのregion fileの保存の際の注意事項に関しては、 6.3.3節に改めてまとめる。
座標を書く
様々な座標軸を画面上に書きたい時は、
Analysis → Display Coordinate Grid
の順にクリックすると、
画面上に座標を書くことが出来る。
図 6.4左は、
ds9上で実際にJ2000座標が書かれたところである。
座標の種類や色などを指定したい時は、
Analysis → Coordinate Grid Parameters ...
とすると、図 6.4右のような座標用のwindowが立ち上がる。
座標システムや軸間隔ををdefault以外にしたい時は
Coordinate → (目的の座標システム)
Coordinate → (目的の座標間隔)
とする。
座標軸などの色や太さなどの変更方法は、regionの場合と同じである。
座標は、検出器の座標系、sky座標共にこのコマンドで引くことが出来る。 しかし、sky座標情報の入っていないFITS (例えば、detector座標で作成されたimage FITS)の場合は、 sky座標を書くことは出来ない。
contourを書く
Analysis → Display Contours
とすると、図 6.5左のように等高線を引くことが出来る。
等高線の本数、scaling、smoothingなどを調整したい時は、
Analysis → Contours Parameters ...
をクリックし、図 6.5右のwindowを立ち上げる。
このwindowの中で、Ccontour Levelsは等高線の本数、
Contour Smoothnessは、smoothingをかけるbin数である。
また、等高線を引く最小値・最大値はLimitsを書き換えることで変更できる。
等高線間隔をlogスケールなどに変更するには、このwindowのScaleをクリックし、
希望のスケールを選ぶ。
contourの色や太さの変更方法は、regionの場合と同じである。
調節が終ったら、
Generate ボタンをクリックした後 Apply ボタンを押すと
等高線が書ける。
等高線のパラメータは、
contour window上で
File → Save Contours ...
とすると、テキストファイルにセーブしておける。
同様に
File → Load Contours ...
で、セーブしておいたcountour fileをロード出来る。
豆知識: 等高線だけのイメージを作成したい時は、 カラーをぐりぐりして、真っ白にしてしまえばよい。
XISのスペクトルを作る時は、XSELECT上でregion filterをかけることは 5.4.1節にまとめられている。 ここでは、スペクトル作成の際のregion file formatの注意事項をまとめておく。
出来た画像を保存する時は、
File → Save Images as ...
とクリックし、好みのフォーマットをクリックすれば良い。
保存できるフォーマットは、
FITS, jpeg, TIFF, PNG, PPM, MPEG。
PS fileに落としたければ、
File → Print
で出て来るsub windowで、"Print To file"を選べばよい。
ここでPrinterを選べば、printerに出力される。