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1. 「すざく」衛星 (Suzaku SATELLITE)

「すざく」(朱雀; Astro-E2)は、ISAS/JAXAのM-V-6号ロケットにより、2005年7 月10日に打ち上げられた、我が国5番目のX線天文衛星である。衛星は直径2.1 m の八角柱の構体を基本とし、全長6.5 m(軌道上で鏡筒伸展後)の大きさを持つ。 太陽パネルを広げた幅は、5.4 mになる。衛星の重量は1680kgにもなり、日本の 科学衛星としては、これまでにない大型衛星である。姿勢は、太陽電池パネルが 太陽から30度以内の方向に常に向くように三軸制御される。科学観測機器は太陽 電池パネルの軸に垂直に向けられるので、観測できる範囲は太陽から $60\sim120$度の角度範囲に限定されることになる。 近地点高度250km、遠地点高度550km、軌道傾斜角31度の楕円軌道に投入され、そ の後、搭載二次推進系により、高度約570kmの略円軌道へ最終投入された。「す ざく」は1日に地球を15周するが、鹿児島県内之浦の地上局から衛星と通信でき るのは、その内の5回のみである。そのため追跡オペレーションは、1日5回、約 10分ずつ行われる。

図 1.1: 「すざく」の概観
\includegraphics[width=0.95\textwidth]{figs/suzaku_structure.eps}

「すざく」衛星は、2000年2月に打ち上げロケットの不具合によって軌道投入で きなかったAstro-E衛星の再挑戦をかけたミッションで、「はくちょう(1979年)」 「てんま(1983年)」、「ぎんが(1987年)」、「あすか(1993年)」に続くX線天文 衛星(図1.2)として、日本国内の大学、諸機関、米国航空 宇宙局(NASA)などの協力で開発が進められてきた。さまざまなX線天体に対して、 これまでになかった広いエネルギー領域(0.3-600keV)にわたり、より高いエネル ギー分解能かつ高感度での観測ができることが、最大の特徴である。

図 1.2: X線天文学の歴史と日本のX線天文衛星
\includegraphics[width=0.95\textwidth]{figs/japanese-xray.eps}

「すざく」に関する最新の情報などは、以下の web サイトを参考のこと。



平成21年8月20日